夏松竹に行ってアイシャドウを買った話

ユリイカ 総特集:日本の男性アイドル』の発売、おめでとうございます。楽しみすぎて、月曜日なのにウキウキウォッチングなずなです。ちなみに予約は出遅れたので出勤前に会社の隣の本屋で買います。たくさん入荷してくれてますように……。

※朝イチで買えました!月曜日にアップする予定だったのに筆ゲキ遅なのでこの時間になってしまいました

 

新しく色々な方の論考を読むと、自分の考えなのか?読んだ話なのか?が混ざりがちなので、とりあえずまだ読まない状態で今年の夏松竹のエントリだけ書いておきたくて、いまさらながらいまポツポツ通勤中に文章を書いています。私による私のためのお気持ちマーライオン記事ですので、もしお付き合いいただける奇特な方いたら適宜テキトーに読み飛ばしてくださいませ。

とりあえず皆さんお手元のPay-easy終わってるかだけ確認してもらっていいですか!?今日キンプリアイランド振込締め日じゃない!?あ、昨日か!?!?大丈夫!?!?振り込んだみんな!?!?一応私の惨劇を貼っておくね!?

 

 

nazpipi.hatenablog.com

 

 


 

 

夏松竹に行ってアイシャドウを買った話、

またの名を、ドルオタとして背負い続けてきた原罪が""赦された""話

 

「あなたのファンがここにいるよ」「ファンでいさせてくれてありがとう」という気持ちの隣に、つねに、「ファンでいてしまってごめんね」という思いがある。私たちファンがいるせいで、アイドルというしんどい運命を背負わせてしまってごめんね、って。

 
罪への気づきは突然に

中高には毎朝礼拝の時間があったが、当時の私は毎朝マジで熱心に祈っていた。「ニノの腰痛が良くなりますように。あと嵐のみんな、そしてすべてのアイドルが写真週刊誌に付け回されずに充実した私生活を送れますように。アーメン」

 

たぶん同世代の多くのオタクと同じように、2007年、花より男子リターンズ、ならびにラブソー出の松潤担としてジャニオタ・キャリアを始めた。ちょうどそれくらいから世は嵐ブーム真っ盛りになって、破竹の勢いでドーム、国立、年間シングルランキングは席巻、それぞれメンバー全員がドラマ主演、本屋に行けばテレビ誌もオリ⭐︎コン(懐か死)も表紙は嵐ばかり。

そしてちょくちょく週刊誌やスポーツ新聞でいろいろ彼らを狙った報道が出るようになった(いや、昔からあったんだろうけど、推しのアイドルができてはじめて私も気がついた)。熱愛報道に限らず、休日に何した、小さい頃はこうだった、卒業アルバムがこうだった…。仕事中ではない彼らのプライベートを、人生を暴いて、消費するような

世はSNS黎明期、やめときゃいいのにいろいろなアイドルの過去の週刊誌報道等もちょこちょこ検索してしまううち、「犯罪なわけでもないしほっといてあげればいいじゃん」というような正義感めいた怒りと、とはいえちょっとした乾いた絶望と、そしてなにより「ああこうやって検索したり積極的に記事を読むような人がたくさんいるからこの仕事が成り立ってしまってるんだな」という強烈な自責の念にかられた。せめてもの償いとして、そういう報道を載せる媒体にはお金を落とさないようにして、毎朝祈ることにしたけれど。アーメン。

 

大学に入って、祈る機会がなくなって、以前ほど強くアイドルを推すことが減っても、この強い罪悪感だけは消えることが無かった。アイドルだけではないし、週刊誌だけではない。例えば震災に遭った高校球児とか、大会前に親御さんを亡くしたアスリートとか。そういう人の人生をネタにした「ストーリー」に、どんなにダメだと思ってもどうしようもなく私は惹かれてしまう。私だけじゃなくて世の中の多くの人もなんだろう。でも、人が本気で覚えた感情を、誰かの人生を、部外者の私たちがエンタメとして消費してよいのか?

 

出戻りと懺悔

そうこうしているうちに葛藤の中の4年は過ぎ、就職。社会の歯車として毎日ルーティン・ライフを生きていると、感性はゆったりと磨耗する。帰宅すると頭が疲れていて連ドラは見られないから、ノーストレスで見られるテレビ番組を探すうち、懐かしい『ザ少年倶楽部』のトンチキの香りに癒しを求めるようになった。

それでも最初はニコニコと番組を楽しんでいただけだった。すごいな、みんな頑張ってるなあって。関西の子はギラギラしてるなあ。前の方にいるこの子は年若そうなのにすごくしっかりアイドルしてて、すごいなあ、大西流星くんっていうのか、私はもっと年上なんだし仕事しっかりやらなきゃなぁ、って。

 

懺悔します。なにきっかけで関ジュにハマったか、って聞かれるたびにゴニョゴニョ誤魔化してきて、ごめんなさい。白状すると、私がズブズブに関西ジュニアに魅入られたのは、King & Princeのデビューが決まったあたりからです。

当時、Twitterのリア垢で一方的にほそぼそとフォローしていたジュニア担のうち、関ジュ担がとにかく荒れていた。なにきん?しょうれん?金内くん?知らないことは調べたくなってしまう性分なので、とりあえず片っ端から調べた。当時の少クラ、まいジャニ、そしてオタクのはてブ、、、そこには事務所のサイコパス人事に翻弄される関西ジュニアと、関ジュ担の姿があったのだ…

「え!こんないろんなことを乗り越えて頑張ってるの!?応援したい!!」

当時のことを直接知らないのに(だからこそ?)その物語性が辛すぎて、甘美で、オタク魂がジンとしびれた。本当にごめんなさい、当時からのファンの方、勝手に消費して…。

 

というわけで、葛藤虚しく、結局誰かの人生をエンタメとして消費して楽しむオタクに一瞬にして戻ってしまったわけでした。

それからも怒涛の展開で。ズブって半年後くらい、新規なりに勉強して、ああ関西は大西畑ムロムカイの4人で引っ張っているんだな〜と思っていた頃、突然関西にユニットができて、そこに向井くん室くんは含まれていなかったり。あけおめレポで2人が号泣していたと読んで嫌な予感に震えていたら、室くんの卒業と向井くんのスノ加入が発表されたり。そして物語派オタク御用達のRIDE ON TIME。いろいろなことの供給がジャブジャブで、感情もいったりきたり。

いまは本気で、ジュニア全員に幸せになってほしいって思ってる。なにわは絶対全員でデビューしてほしいし、すると思っているし。でも、転がり込んだきっかけもきっかけなので、私には常に罪の意識があった

ROTで丈くんが「人生賭けたバクチ」ってアイドル業のことを表現していたけれど、私はその、人生賭けたバクチを安全なところから見ているローマ市民なのだ。カイジのブレイブメンロードの観客なのだ。

この罪の意識を、わたしはドルオタの原罪と呼ぶことにした。

 

救済の夏松竹

さて、その後ありがたいことに何度か現場にお邪魔する機会も得、その度に「りゅちぇって実在してたんだ…」「恭ちゃん顔2ミリ」「西畑大吾白すぎて発光してる」みたいな語彙読解力検定500級みたいな感想を日々垂れ流していた。それができたのも、あくまで彼らを双眼鏡越しに見ていたから、なんだかオペラグラスの向こう側、のように感じていたからである。

迎えた今年の夏松竹。なんだか今年のチケ運は、なかなか当たらないけれど当たった現場は鬼良席…という、三振かホームランかの大振りバッターみたいだったのだけれど、さすがに花横、前から4列目のチケットが家に届いた時はヘナヘナ座り込んでしまった。

 

まじで間近にみる関ジュちゃんたちはバチバチにオーラがやばくて、やっぱり恭ちゃんの顔は2ミリだったし、ちゅんさんは発光していた。みっちーは股下5㎞だったしニシタクの横顔は彫刻だった。

SHOWTIMEも楽しくって浮かれポンチになって、原罪のことなんか少し忘れかけていた頃。キラッキラのアイドル衣装に身を包んだ大西流星くんが颯爽と現れ、舞台の一番真ん中、スタンドマイクとともに、ぐんぐんとせり上がっていった。

ここで、わたしはハッとしたのである。

 

この子、こんなに楽しそうに舞台に上がっていたんだ。

 

ダイアモンドのように光を孕んでキラッキラに乱反射する両の眼。決して大柄ではないのに目を引く、芯のしっかりした体躯が揺れて、スポットライトを一身に浴びる。

あなたの人生を、一方的に消費してごめんね、と思っていた。でも、こんなに楽しそうにアイドルしている流星くんを見て、彼もまた、私たちファンがいなければアイドルでいられないことに気がついた。私たちの関係はある程度win-winなのかもしれないなって。(いま書きながら気がついたけれど、ラキボの「合言葉はいつでもwin-win」ってそういう意味だったんか!?)だからその分彼が他のアイドルに比べて大変じゃない!とは全く言わないし、アイドルでいてくれているがためにいろんな制約はあると思うけれど、それでも、彼はアイドルでいること自体を楽しんでくれているように見えた。

これまで抱いてきた後ろ暗い思いがすーっと浄化されて、目の奥がちょっとだけ痛くなった。少しでもあの景色を見逃したくなかったから、必死に涙は堪えたけれど。

 

流星くんは最後の挨拶で、「みなさんの夏休みの貴重な1日を、僕たちの舞台を見に来ることに使ってくれてありがとう(ニュアンス)」とも言っていた。自分たちは毎日ほとんど休みなく昼夜公演をしている中で、オタク自身も気がつかないくらいのことに気づいて、言及してくれる彼が本当に好きだ。そして、そこに思いが至るということはやっぱり彼自身もこの仕事を楽しんでくれているんだなと思って、ちょっとホッとしたのも事実である。

 

次の日、あべのハルカスの麓の化粧品屋さんで、アディクションのアイシャドウを買った。グレーがかったキラキラのラメ。あの舞台で松竹座じゅうの光を集めていた彼の、両のダイアモンドに少しだけ似て、でも遠く及ばないけれど。

 

f:id:pollyannaxxx:20191029181326j:image

 

色番号#051、『meeting at dome』。

いつか流星くんが、願わくはあの楽しそうな表情のまま、ドームの舞台の真ん中で輝く時まで。オタクの小さな願掛けに過ぎないけれど、大切に少しずつ使っていこうと思う。無力なアーメンに代えて。

 

 

夏松竹に行ってアイシャドウを買った話、おしまい。

はー!ずーっと抱え込んでたマーライオンおわり!我慢してたユリイカ読むぞ〜!!