デビューと夢と永遠とDreamin' Dreamin'

なにわ男子デビューコン、ありがたいことに見に行くことができまして、いま改めて彼らのファーストアルバム『1st Love』を聴きこんでいます。キラキラあり、関西弁あり、フレッシュさあり、TikTok映えあり……。なにわ男子がなにわ男子としてデビューするにあたって作られた最高のアルバム、いわば「ファストなにわ男子」、まずはとりあえず1枚聞けば彼らの濃縮された魅力を味わうことができる名盤だと思います。

アオハル感満載の『月火水木君曜日』、関西ジャニーズ伝統(?)の系譜『妄想っちゅーDiscooooooo!!』、ライブでの一体感が楽しい『ちゅきちゅきハリケーン』、これはもう別枠で思い入れたっぷりの『ダイヤモンドスマイル』などなど。ここに出していない曲も全部全部素敵なのですが、私は『Dreamin' Dreamin'』が大好きすぎて…この気持ちを記録しておきたくなったので、ここに書き残しておきます。

 

 

はじめに

私は中高生のころ、世代ど真ん中の嵐ファンをしていましたが、関ジャニ∞も大好きでした*1。CDもDVDも再生しまくる中で、ハマった曲は『DREAMIN' BLOOD』

関ジャニ∞ DREAMIN' BLOOD 歌詞 - 歌ネット

 

・ファーストアルバムに入っている

・ジュニアが歌っても不思議じゃない、王道ジャニーズっぽい曲調

・歌詞をよくよく聴くと、「何度生まれ変わっても君とここに立とう」「さあ行こう僕らには 夢を叶えられる力がある」「あの頃をいつも忘れないさ」と、アイドルとしてデビューすることを目の前にして、いままでの下積み時代を振り返るような決意の曲になっている

などなど、デビュー前とデビュー後をつなぐ架け橋のような曲だな、と思っていました。そして、「私はデビュー後しばらくしてから追いかけている身だけど、ジュニア時代から応援していた人はこの曲を聴くとまた違ったリアリティある受け取り方ができるんだろうな~」「その気持ちは私は味わえず、ちょっと悔しいな~」と思いました。

 

そして約10年後。応援していたジュニアのグループがデビューして、ファーストアルバムのリリースを控え、収録曲が発表されたとき、そこには「Dreamin'」の文字が。聴いてみるとこ、これは例の、デビュー前とデビュー後をつなぐ架け橋のような曲じゃないか……!!

 

歌詞を細かく語っていくよ

 

「はじめに」で語ったとおり、私が『Dreamin' Dreamin'』が好きな理由には、「デビュー前とデビュー後をつなぐ曲」である、という点が非常に大きいです。どのようなポイントからそのような感想を持ったのか、順に記しておこうと思います。

↓歌詞全体はこちら↓

なにわ男子 Dreamin' Dreamin' 歌詞&動画視聴 - 歌ネット

・~Aメロ前:「夢」とは何か?

I'm dreamin' ...Can you hear me?... I'm with you...
君と見たいよ

ファーストアルバムでアイドルが語る「夢」とは、何なのでしょうか?そもそも歌は普遍的なものだし、受け取り方は百人いたら百通りあるとは思いますが、私はドリドリという曲の「夢」についてはベタに「デビュー、そしてこれから続くアイドル稼業」のことだと解釈しています。ジュニア時代からずっと「夢」見た場所。そしてこれから続いていく、人にうたかたの「夢」を見させる仕事。だからこそ、歌い出しのソロパートが西畑大吾さんであるという事実を抱きしめたい(しかもハモリはリーダーの大橋くん)。ひとつの時代の関西の赤、関西Jr.のセンターだった彼。グループができてからは「全員がセンターになれる、嵐のようなグループになりたい」と繰り返しながらも、なんやかんや結局背負い続けてきた赤いマント。なにわ男子がデビューしてから、なにわTubeでふざけて壊れるだいちゅんを見るたびに、少し安心した気持ちになります。

 

・Aメロ:安心感と、ひとさじの自信

ったなしましょう
ここからきっとまりの合図

真新しい世界らで出来てる

「待ったなし」MA-TTANASHI「真新しい」MA-ATARASHIで韻を踏んでいるのも心地よいですが、歌詞の内容もデビュー後という夢の世界へのステップアップを感じさせます。冒頭のちゅんから、デビュー曲『初心LOVE』のセンターであるみっちーに、パートが引き継がれるのもいいよね。ちなみに私は「真新しい世界は僕らで出来てる」という言葉にほんの少し感じる自信のようなニュアンスが好きです。そしてこういうパートを歌う大西流星さん(己の可愛いとそれを裏打ちする努力に対しての絶対の自信を感じる)が大好き。

 

もうくないよ
このままずっとといられる

どうしたって未来恋焦がれてる

私はデビュー前のジュニア担になったことがこれまでなかったので、関西ジュニアを推し始めた時、いろいろな「ジュニア担の当たり前」に非常にびっくりしたことを覚えています。進退については明言されず、ジャニショの写真がなくなったことで退所を知ること*2。春松竹は卒業の季節、楽日の様子で退所メンバーをなんとなく察するらしいということ。一度グループができたとて、それはずっと一緒であることが約束されている訳ではなく、あくまで流動的なものだということ…。どんなに売れてもあくまでジュニア。明日どうなっているかはわからない。それがデビューによって正真正銘、「もう何も怖くないよ/このままずっと君といられる」ことになるわけです。本当によかったね。ここの長尾さんときょろちゃんのハモリの入れ替わりも素敵です。なお、先ほどのりゅちぇパートもそうですが、高橋恭平さんパートの「どうしたって未来も(なにわ男子に)恋い焦がれてる」も同様に自信に溢れてていい。オタクは自己肯定ギャルが大好き。

 

・Bメロ:「これから」の話をしよう

見上げれば てない
わらないませんか?
いたいと えばがる

Where do we go? Movin' up!

「見上げれば果てない空。そう、彼らはデビューという夢をつかみましたが、あくまでデビュー済のアイドルとしては新人さんな訳で、ここからいろいろな未来が開けている訳です。終わらない旅、どこに行こうか?※ちなみに会いたいと願っても残念ながらチケットがご用意されない場合多数

歌割りの話をすれば、Bメロで満を持して兄組が登場することがまた、ドリドリの良さを引き出しています。そしてあえて「これまで」ではなく「これから」の話をさせるという。彼らは「これまで」の下積みエピソードがメンバー内でも豊富な人たちなのに、あえて。それがいいんだよな~~。

 

・サビ:「君」とは誰か??

まる Dreamin' Dreamin'
Oh my darling けない魔法かけよう
いつでも Stand by you めて (うよ)
Won't be lonely ひとりにさせないよ No No No No
ここにいるから だけのFlower かせるよ

さて、サビです。ここで有権者の皆様にまず申し上げたいのは、この……「君」って誰???という話。

一番ストレートな解釈としては、アイドルがデビューという夢について歌っている曲の中で出てくる「君」=「ファン」でしょう。アイドルは、ファンに解けない魔法をかけて、いつでもそばにいてくれる。日常生活でつらいことがあっても、アイドルのコンテンツを見ることで元気が出てくる経験は、ドルオタなら身に覚えがあるでしょう。

ただ同時に、特にサビ後半を聴いていると「君」=ファンから見て「推しのアイドル」でもあるように思います。コンサート会場で自担のメンバーカラーを手元にそっと灯し、彼から見えるかどうかはわからないけど、「ここにあなたのファンがいるよ」という祈るような気持ちになること。その思い、まさに「ひとりにさせないよ」「君だけのFlower 咲かせるよ愛を」だよなあ、と。

そしてまた、「君」=メンバーから見て「グループ内の他のメンバー」とも読めるんじゃないかな。さきほどAメロの長尾くんパートのところで、ジュニア時代の不安定性について言及しましたが、デビューというのは「このメンバーでやっていくことが確約される」ということでもある。「わちゃわちゃ萌え」的なアイドルの推し方をする多くのファンにとって、メンバー同士が離ればなれにならないというのは非常に大きな安心材料なのでは。「ここからずっと君といられる」だし、「君と始まる」「ひとりにさせないよ」とメンバー同士が言い合っていてくれることへの、ホッとする気持ち。

……というわけで、勝手に一粒を3度おいしく味わっちゃうドリドリの「君」解釈でした。

 

・2番:時空を超えた「ファン」への言及

ドキドキまらないよ
のステージにある

こう っている?

まさに「ずっと夢だったデビューを前にしたアイドル/そのファンの気持ち」の箇所だと思うんですが、ここの歌がエンドレスに割り当てられているのがいいよね。グループの中ではしっかり者で、年長で、MCの回しだって完璧にこなす2人だけど、それでも不安と緊張と楽しみとが、ないまぜの気持ちなんだな、と。

 

がったり 遠回
それでもらはむんだ

足跡は いてく

Where do we go? Movin' up!

ここは、1番のBメロと対照的に「デビュー前のこれまで苦労してきた」ことに言及する箇所……でもあるし、もしかしたらデビュー後に待ち受けている、うまくいかない日のことかもしれない。今後の未来の話だとすれば、「足跡は君へ続いてく」の「君」は、ファンはファンでも、「まだ現時点ではファンになっていない、未来のファン」とも受け取れますね。もちろん全編を通じて、アイドルに限らず、全てが全て順調なわけではない日々を送る私たちへの普遍的なエールでもあるのが、すごいところです。

 

いまがる Dreamin' Dreamin'
Oh my darling えない星座こう
いつでも Remember you で (らすよ)
One and only こんなにしいよ No No No No
れないから それぞれのStarlight ここでなるよ

スターダムに駆け上がっていくなにわ男子さんですが、ここで少し気になるのが「いつでもRemember You 同じ空で(君を照らすよ)」の一節です。なんとなく1番のサビよりも時間的・物理的に距離を感じる言い方。もしかしてこの「君」は、Bメロのりゅちぇパートで言及していた「未来のファン」の逆、言うなれば「過去のファン」――これまで応援していた時期があったけど、今はそうではない――を指しているのかもしれないな、と。今は同じ未来を見ていないかもしれないけど、あなたたちの支えがあって今の彼らがある。その事実は「離れないから」、「君を照らすよ」くらいの距離感で輝きが伝わるといいな、と。

 

これはなにわちゃんの話ではありませんが、通じることがあると思うので、先日セクゾの初ドームが発表されたときの風磨くんのコメントを受けて考えたときのお友達と私のツイートを下記に引用します(れーさん勝手に引用すみません)。

サビの最後の「それぞれのStarlight ここで重なるよ」は、3つめの君解釈「君=他のメンバー」として読み取ってもうまく腑に落ちるんですけどね。なにわ男子のメンバーひとりひとりの輝き(『Seven Stars』で言うところの1Star~7Star)が重なって、デビューしても三位一体…いや七位一体でやっていくんだ、という。

 

・Cメロ~大サビ~コーダ:アイドルに永遠はあるのか問題


がいればこの世界は とりどりのも せて
(I'm dreamin'  Can you hear me?  I'm with you)


足音に こえてますか?
いつもいつでも にギュッときしめて

ここも「君」=「アイドルから、ファン(過去・未来含む)」「ファンから、アイドル」「メンバーから、メンバー」それぞれの解釈でそれぞれ味わうことができますね。

 

まる Dreamin' Dreamin'
Oh my darling けない魔法かけよう
いつでも Stand by you めて (うよ)
Won't be lonely ひとりにさせないよ No No No No
ここにいるから だけのFlower かせるよ
ていたいよ

ところで、サビでは「解けない魔法」(1番)「消えない星座」(2番)という印象的なフレーズが出てきますが、アイドルは「解けない/消えない」、そんな永遠が約束されたものなのでしょうか?確かに、これまで言及してきたように、ジュニア時代よりは身分が保証されているかもしれません。それでもアイドルに永遠が無いってことを、いろいろな活動休止・脱退・解散を目にしてきた私たちは、十分すぎるほど知ってしまっています。それでも今だけは、この瞬間の幸せが永遠に続くことを純粋に信じるふりをしていたい。アイドルというエンターテインメントって、アイドルとファンが、「この世には永遠が存在する」という夢を、一緒に信じるふりをすること、この共犯関係のことなのでは?と思います。そんな夢…嘘と言ってもいいかもしれない…を、「君と見ていたい」そう思うことを、愛と呼びたいのです。

 

けない I'm dreamin'
う You're dreamin'
れ We're dreamin'
今始まるよ ずっと!

解けない魔法、アイドルという夢を、私が/あなたが/私たちが一緒に見ているということ。夢って本来、いつか醒めるもの、はかないものですが、それをはっきり「ずっと!」と宣言してくれること、潔いほどのアイドルという欺瞞。ファーストアルバム『1st Love』、Tr1はOverture、Tr2はデビューシングルな訳で、実質この『Dreamin' Dreamin'』がファンが初めて聴くなにわ男子のアルバム曲になるわけですが、そんな楽曲の最後のフレーズが「夢が今始まるよ ずっと!」であること。この事実だけで、なにわ男子、いいグループになったなあ、本当にデビューしたんだなあ、そしてこれからもずっと一緒に夢を見させてもらいたいなあ、そんなことを思いながら後方彼氏面をしてしまうわけです。

ゆめ【夢】

読み方:ゆめ

《「いめ」の音変化

 睡眠中にあたかも現実経験であるかのように感じ一連の観念心像視覚像として現れることが多いが、聴覚味覚触覚運動感覚を伴うこともある。「怖い—を見る」「正(まさ)—」

 将来実現させたい思っている事柄。「政治家になるのが—だ」「少年のころの—がかなう」

 現実からはなれた空想楽し考え。「成功すれば億万長者も—ではない」「—多い少女

 心の迷い。「彼は母の死で—からさめた」

 はかないこと。たよりにならないこと。「—の世の中」「人生は—だ」→夢に →夢にも

https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E5%A4%A2_%28%E3%82%86%E3%82%81%29/

 

まとめ

というわけで、私の中の『Dreamin' Dreamin'』の解釈としては……。デビューという夢をかなえて、今度はデビュー済のアイドルとして、ファン/推し/メンバーである君と、「永遠にこの楽しい時間が続く」という夢を見ていたいよ!!という、双方向型のラブ&決意&共犯者宣言ソングだと思っています。ほぼほぼRIDE ON TIME(あちらは双方向性はあまりないですけど)。

 

それでは聴いてください、チグハグ …じゃなくて、CDお持ちの方はCDから、お持ちで無い方は下記リンクから視聴が少しだけ聴けますので、ぜひぜひこれを機に(?)名盤を手にしちゃってください。

www.j-storm.co.jp

 

本当は『Dream Catcher』『なにわLucky Boy!』『Dreamin' Dreamin'』の歌詞を比べながら、グループ結成前・デビューを意識するグループの結成後・デビュー後、を比較して味わい尽くしたいところだったんですけど、ちょっとした卒論か!?って感じの文字数になってきたので、ひとまずそれは次回に回したいと思います。それでは!!

 

なにわ男子、結成4周年、おめでとう!!

 

*1:ヤスコとケンジ出の大倉担(のち丸山担になる)だった妹が買ってきた『ほんまに関ジャニ∞!!』を読んだのが直接のきっかけです。でも当時嵐のドラマにエイトが出てたり、バラエティの共演も多くて本当に楽しかったな~。ゲストがエイトの時のマネキンファイブはいまだにハードディスクから消せない

*2:ほんの数年前ですが、当時はアイランドTVも無かった時代…いまはアイランドの自己紹介ページから確認できる良い(?)時代になりましたね、、、